ツクルバ(2978) 不動産をDXで刷新する


1. 企業概要

ツクルバは2011年8月に設立され、東京都渋谷区恵比寿に本社を置く、いわば「中古・リノベーション住宅流通プラットフォーム」を運営する不動産系のベンチャー企業です。 (TSUKURUBA Inc.(ツクルバ))

同社の主力サービスは、プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」で、中古・リノベーション住宅の流通をIT・デザイン視点で刷新しようとしている。 (TSUKURUBA Inc.(ツクルバ))

事業構造を整理すると以下のようになります:

  • 中古・リノベーション住宅の情報流通・オンラインメディア・仲介サービス:cowcamo事業。売手・買手双方を仲介し、主に手数料収入を得る。 (北日本)
  • 以前は「不動産企画・デザイン事業」も行っていたが、2023年11月1日付でこの事業を譲渡しています。 (北日本)

ツクルバの強みとされる点:

  • 中古・リノベーション住宅流通という比較的新しい・成長余地のある分野に特化しており、レガシーな仲介業をITやデザインで刷新しようとしている。これが競争優位の源泉のひとつ。 (北日本)
  • バリューチェーン(中古住宅の探す・デザインする・購入するというプロセス)を“顧客体験”ベースで統合し、自社開発のシステム・チャットアプリ・アプリ会員などを活用している点。つまり“場(=プラットフォーム)”としての役割を強めている。 (北日本)
  • 受託/仲介モデルが中心で、自社で大量に不動産ストックを抱えるリスク型モデルではなく、比較的手数料型収益モデルであることが記載されています。(北日本)

ただし、もちろん注意点もあります。


2. 直近の業績と収益性

直近の財務データからツクルバの状況。

  • 2024年7月期(連結) 売上高:54.8億円(前年比+48.2%) (株探)
  • 2024年7月期 営業利益:+1.55億円(黒字転換) (株探)
  • 2024年7月期 当期純利益:+2.15億円(前年比+84.0%) (株探)
  • 2025年7月期(予想) 売上高:81.0億円(+約48.0%) (株探)

収益性指標(公開されている範囲)

  • ROE(自己資本利益率):約6.15%(少なくとも一部報告値) (株予報Pro)
  • ROA(総資産利益率):約2.05%(同上) (株予報Pro)
  • 営業利益率:2024年期では、営業利益1.55億円/売上54.8億円=約2.8%ほど。

直近では黒字化に転じ、売上の成長も堅調という点はポジティブです。ただし、利益率・ROE・ROAともに「高い」と言える水準ではありません。

また、第3四半期累計(2025年7月期第3四半期累計)では、売上高が57.83億円と前年同期(?)から大幅に増加した一方で、経常利益が0.93億円と前年同期比35%減少という報告もあります。(Yahoo!ファイナンス)
このことから「売上は増えているが、利益が追いついていない/コストが先行している」と読み取れます。


3. セクター分類と指標平均

ツクルバは証券コード 2978 で、東証グロース市場上場、業種分類「不動産業」です。 (北日本)

不動産業セクターにおける一般的な指標平均として、参考になりそうなものを以下に。

したがって、ざっくり言えばこのセクターでは「営業利益率10%超/ROE8~10%」あたりが一つの目安と言えそうです(まあ実際には企業規模やビジネスモデルによって大きくぶれますが)。


4. セクター平均との乖離と要因

さて、ツクルバの数値をセクター平均と比較してみると、下記のような状況です。

  • 営業利益率(2.8%程度) < セクター平均12.4%:かなり劣後しています。
  • ROE(6.15%) < セクター目安8.8%程度:やや低め。
  • 売上成長率はかなり高め、これは強みとして評価できます。

なぜこのような乖離があるか、その要因の考察。

主な要因

  1. 成長フェーズゆえの先行投資コスト
    ツクルバは売上を急拡大させており、それに伴って人件費・広告宣伝費・システム開発費といった先行費用を多く計上している模様。例えば第1四半期では「人件費や広告費の先行支出を行いながら営業黒字を維持」というコメントがあります。(TSUKURUBA Inc.(ツクルバ))
    このため利益率・ROEが抑制されていると考えられます。
  2. ビジネスモデルの収益構造
    中古・リノベーション住宅流通プラットフォームというモデルは、手数料型でスケーラブル性がありますが、物件仕入れ・撮影・デザイン・仲介・アプリ/システム開発といった運営コストがかかります。また、物件によっては仕入リスクを負うケースもあるようです。(北日本)
    このため、まだ収益が十分に効率化されていない可能性があります。
  3. 規模・ブランドの成熟度
    大手不動産会社と比べて、ブランド力・流通網・仕入れ力・プロセス効率の面で遅れがある可能性があります。こうした要因が、利益率に影響を与えていると思われます。

つまり、ツクルバは「成長中で拡大フェーズ」にあるため、収益性・効率性の面では平均を下回っているという理解が妥当です。逆に言えば、収益の改善余地があるとも考えられます。


5. 売上構成比

最新の売上構成比

  • cowcamo(カウカモ)事業: 98.4%(売上構成比) (北日本)
  • 不動産企画デザイン事業: 1.6%(売上構成比) (北日本)

解説:ほとんどがcowcamo事業に依存しており、「中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム」というビジネスが主力です。不動産企画デザイン事業は既に譲渡されており、今後構成比はこの傾向がさらに強まると見られます。


6. 財務健全性

財務健全性という観点から、ツクルバをざっとチェックします。

  • 自己資本比率:例えば松井証券データでは約39.3%。(松井証券)
  • 有利子負債倍率(有利子負債/純資産)も高めというデータあり(例:有利子負債約21.2億円/純資産約18億円)。(松井証券)
  • ROAが2%程度、ROE6%台と低め。
  • 売上急拡大フェーズゆえ、先行投資が多くキャッシュフローの圧迫リスクあり。

総じて言うと、「財務的に安定・無懸念」というレベルではなく、成長企業特有のリスク(資本効率低め・借入/負債比率高め・利益余裕少なめ)を抱えているという印象です。ただ致命的というほどではなく、成長段階を踏まえた“注意すべき水準”という評価になります。


7. 過去10年の推移と今後の展望・リスク

過去10年の推移

ツクルバは2011年創業、2019年7月31日にIPO上場済。(スピーダ スタートアップ情報リサーチ)
上場後の数年は赤字が続いていたようですが、先の通り2024年7月期に黒字転換、2025年7月期予想でも大きな売上成長を見込んでいます(81億円予想など)。 (株探)
このように「成長・拡大フェーズ」にある企業です。

今後の展望

ポジティブ点としては:

  • 中古・リノベーション住宅市場には構造的な追い風(少子高齢化、住宅ストックの劣化・再活用ニーズ、リノベーション需要)があります。
  • プラットフォームモデルを構築中で、会員数拡大・データ活用・付帯サービス拡充が進めばスケールメリットが効いてくる可能性あり。
  • 売上の成長率が高く、黒字化達成という「転換点」に立っている可能性。

リスク点としては:

  • 収益性がまだ低め。先行費用が膨らむと利益成長が後手に回る可能性。
  • 不動産市場全体の景況感・金利動向・在庫リスク・物件仕入れリスクなどマクロ影響が大きい分野。
  • プラットフォームの囲い込み(会員数・取引件数)を一気に伸ばせるかという実行力。
  • 財務構造がまだ盤石とは言えず、借入・負債の影響、キャッシュフローが安定するまでの時間がかかる可能性。

8. 競合他社との比較と立ち位置

ツクルバが属する中古住宅/リノベーション流通というニッチ領域では、以下のような競合・類似企業が挙げられます(私も調べましたが、データが揃ってる企業は少ないので概念的な比較です)。

  • 大手不動産会社(例:三井不動産、三菱地所 等)…スケール・ブランド・資金力で強いが、リノベーション特化・プラットフォーム特化ではツクルバとは構造が異なる。
  • リノベーション特化企業・中古住宅仲介企業…規模がツクルバより大きいケースもあり、収益性・ネットワーク・仕入力で優位な企業もある。

ツクルバの立ち位置としては「成長フェーズにあるニッチ/プラットフォーマー」というポジション。大手にはない機動力・IT/デザイン強みを打ち出しており、競合と比べて“専門化+プラットフォーム化”という差別化方向を志向していると見えます。ただし、スケール・効率性でまだ大手には遠いというのが実態です。

収益性で言えば、競合他社・大手と比べて今はまだ非効率な側面がありますが、伸び代という意味では優位な面もあります。


9. 総括

ツクルバを中長期で見ると、以下のように整理できます。

ポジティブ面

  • 中古・リノベーション住宅という成長市場をターゲットにし、プラットフォーム/IT・デザイン融合型ビジネスモデルを構築中である点。
  • 売上成長率が高く、黒字転換を果たしたという実績。拡大フェーズにあるという点で魅力。
  • 今後取引規模が拡大し、会員数やデータ活用・付帯サービスが成熟すれば収益性改善のポテンシャルあり。

ネガティブ面

  • 現時点では利益率・ROE・ROAなどの収益効率がセクター平均よりも低く、効率化・収益性改善が必須。
  • 住宅・不動産という業界ゆえに、金利変動・景況変化・物件仕入れリスク・在庫リスクなどマクロ/ミクロ双方の不確実性あり。
  • 財務・キャッシュフローの面で“安定安心”とは言えず、拡大を急ぐあまりのリスクも存在。

中長期投資家が注視すべきポイント

  • 収益性改善(営業利益率・ROEなど)がいつ、どの程度実現されるか。
  • プラットフォームがどれだけ会員数・取引数を拡大できるか/スケールメリットを出せるか。
  • 不動産市況・金利環境・住宅ストックの流通ニーズなど、マクロ要因の動き。
  • 財務体質の改善、キャッシュフローの安定化、負債比率の状況。

結論として、ツクルバは「成長期待あり・しかしまだ改善途上」という銘柄だと思います。リスクを許容できるなら魅力的な選択肢にはなり得ますが、“安定優良株”という位置付けではまだありません。収益性の改善が見えるまで慎重な姿勢を保つのが賢明かもしれません。

アズーム(3496) 不動産 × データで資産が目覚める


1. 企業概要

アズームは2009年設立、2018年に東証グロース市場へ上場した遊休資産活用型の不動産(駐車場)サービス会社です (scouter.monex.co.jp)。

主軸は、月極駐車場のサブリース運営と検索ポータル「CarParking」による、駐車場オーナーと利用者をマッチングするビジネスです。

また、近年は貸会議室などの「スマート空間」や3DCG/VRを活用した不動産可視化サービス(ビジュアライゼーション事業)へと事業領域を拡大しています (scouter.monex.co.jp)。

経営方針としては、「遊休資産の最大活用」「収益の多軸化」に注力。サブリースにより安定収益を確保しつつ、空き会議室や広告スペースを活用することで、収益性とスケーラビリティの両立を図っています。また、VR/3DCGなどの先端技術導入で、物件価値の新たな可視化を通じた差別化を図っています 。


2. 直近の業績と収益性(25年9月期通期/同中間実績)

  • 売上高:125.0億円(前期比+18.6%)
  • 営業利益:25.0億円(同+36.8%)、営業利益率20.0% (kabutan.jp)
  • 経常利益:24.9億円(同+36.3%)
  • 当期純利益:16.19億円(同+25.7%)
  • ROE:37.3%、ROA:25.94%(ともに25年9月期予想) (finance.yahoo.co.jp, irbank.net)

また、25年3月期中間実績では、売上63.19億円(+28.5%)、営業利益11.55億円(+37.6%)と順調な伸びを見せています (finance.yahoo.co.jp)。


3. セクター分類と指標平均

アズームは東証グロース市場の「不動産業」に分類されます (kabutan.jp)。同セクターの代表的財務指標は以下が目安です:

  • 営業利益率:5~10%
  • ROE:10~15%
  • ROA:3~8%

4. セクター平均との乖離と要因

指標アズームセクター平均差異
営業利益率20.0%5~10%+10~15ポイント
ROE37.3%10~15%+22~27ポイント
ROA25.9%3~8%+17~23ポイント

高収益・高効率の理由

  • 高マージンビジネスモデル
    サブリース収益はストック型で、一次取得後の維持コストが比較的低い構造。加えて「CarParking」がマッチング手数料を収益化しており、スケールに応じて利益率が改善します (irbank.net)。
  • 低資本効率での収益
    遊休資産を活用することで設備投資を抑えつつ収益化。資産回転が良く、ROA・ROEの高水準維持につながっています。
  • 技術による差別化
    VR/3DCGを組み合わせたビジュアライゼーション事業が付加価値を提供し、他社との差別化に寄与しています (scouter.monex.co.jp)。

5. 売上構成比

  • 約80%:遊休資産活用事業(駐車場サブリース・ポータルサイト等)
    → サブリースは安定収益を、ポータルは成長ストック収益を生むビジネスモデル (scouter.monex.co.jp)。
  • 約15%:スマート空間予約(貸会議室/ジム等のレンタルスペース)
    → オーナーからの固定収益と利用手数料収入の複合モデル (scouter.monex.co.jp)。
  • 約5%:ビジュアライゼーション事業(VR/3DCG)
    → 不動産仲介・販売向けに可視化ソリューション提供。利益率は高めで成長分野。

6. 財務健全性

アズームは非常に健全な財務体質を維持しています:

  • 自己資本比率67%以上(25年3月期中間:69.5%) (finance.yahoo.co.jp)
  • 有利子負債ほぼゼロ、D/Eレシオ極低水準
  • 営業CF:約8.13億円(前年同期比+49.1%)、フリーCF常に黒字 (finance.yahoo.co.jp)
  • 安定配当+継続的な増配(配当予想:1株40円、配当性向約15%) (buffett-code.com)

低リスク・高成長に耐えうる財務構造で、今後の投資余力も豊富です。


7. 過去10年の推移と今後の展望・リスク

過去10年の成長軌跡

  • 売上:2017年12.2億円 → 2024年105.4億円 → 2025年125億円へ拡大 (irbank.net)。
  • 営業利益率:5%台から20%台へ上昇。
  • ROE/ROA:2024年34%超、2025年更に上昇予想(ROE37.3%、ROA25.9%) (zaimani.com)。

今後の展望

  • 遊休資産の更なる取り込み:地方空き地や会議室など未活用資産の収益化余地が大きい。
  • ユーザー基盤拡大:CarParkingの利用者増と、ビジュアライゼーションの拡販による付加価値売上の増加。
  • 多角ポートフォリオ強化:複数の収益源により、安定と成長の両立を実現。

リスク

  • 不動産市況の地域差・需給変化
  • サブリース過剰供給による賃料低下リスク
  • VR/3DCG事業の競争激化、収益化の継続性に懸念
  • マクロ金利・貸借ルールの変化による投資コスト・収益性の影響

8. 競合他社との比較と立ち位置

  • 駐車場サブリース分野:他地域特化型業者や大手不動産会社。アズームは専業&自社ポータル運営による強みあり。
  • スマート空間事業:レンタルスペースではスペースマーケットなどと競合する中、駐車場+会議室の両輪展開が差別化要素。
  • ビジュアライゼーション:不動産可視化技術では他ITベンチャーとも競合。VR+不動産両面の業務連携で優位性を確保。

→ 総じて、遊休資産を核としつつ複数の収益ジャンルを軽資本で展開する戦略により、同業他社と比べて高収益・高成長・高効率を兼備しています。


総括

アズーム(3496)は、駐車場サブリース+ポータル運営のストック型ビジネスを主軸に、スマート空間・ビジュアライゼーションという高付加価値サービスを併設した、軽資本で高収益を生むモデルが光る企業です。営業利益率20%超、ROE37%超、ROA26%超という極めて高い収益性は、不動産業として突出しています。

財務は無借金・高自己資本比率で安定しており、将来投資や増配にも余力あり。遊休資産の拡大と技術展開によって、今後もさらなる成長が期待されます。ただし、不動産需給変動や技術分野の競争には注意が必要で、バランス感のある成長戦略が今後のカギです。