1. 企業概要
- 会社名:株式会社PEGASUS(英語表記:PEGASUS CO., LTD.) (ウィキペディア)
- 設立・沿革:現行商号のミシン製造会社としては昭和期に再編。創業の起源は1914年(大正期)にさかのぼる。 (pegasus.co.jp)
- 本社所在地:大阪府大阪市福島区鷺洲五丁目7-2 (TX会社調査)
- 上場市場・証券コード:東証スタンダード市場、コード 6262 (ウィキペディア)
- 事業内容:主に工業用**環縫いミシン(かんぬいミシン)**の製造・販売。ミシン機器・関連部品・ソフトウェア・サービスなども手がける。 (pegasus.co.jp)
- 製品特性・強み:
・環縫いミシンという専門領域で強みをもつ(ニッチかつ技術依存性が高い) (ウィキペディア)
・世界約70ヵ国に販売代理店網を持つグローバル展開 (pegasus.co.jp)
・取扱製品の数も豊富(約3,500種類)と称されている (pegasus.co.jp)
・ミシン以外にも、自動車部品製造(特にダイカスト部品)などへの参入もしている点が複線的強み (ウィキペディア) - 経営方針・事業構造:専門機器にフォーカスした “プロ向け” 製品中心モデル。高耐久性・技術差異化が鍵。顧客は産業用途の縫製工場などで、価格競争より性能・信頼性重視となりやすい。事業構造としては、ハード機器(ミシン本体)+部品+アフターサービス/ソフトウェア支援が組み合わさった形を取っている。
→ 要するに、普通のミシン屋じゃなくて、産業機械的な側面を持つ“縫製機械メーカー”だ。専門性・ブランド力で差をつけるしかない。
2. 直近の業績と収益性
IR・業績資料から得られる最新データに基づく。情報が欠けてるところは注意。
(連結ベース) (IR BANK)
| 指標 | 2025年3月期実績 | 備考・前年との差 |
|---|---|---|
| 売上高 | 約 220.40 億円 (ウィキペディア) | 前年比で約 126%(=+26%程度)との情報も散見 (TX会社調査) |
| 営業利益 | 約 15.73 億円 (ウィキペディア) | 利益率として、約 7.1 % とする資料もあり (TX会社調査) |
| 経常利益 | 約 15.55 億円 (IR BANK) | — |
| 当期純利益 | 約 9.64 億円 (ウィキペディア) | — |
| 総資産 | 約 463.91 億円 (ウィキペディア) | — |
| 純資産 | 約 336.37 億円 (ウィキペディア) | — |
これらから導ける収益性指標(単純計算):
- 営業利益率 ≒ 15.73 ÷ 220.40 = 7.1 % 程度
- ROE = 当期利益 ÷ 純資産 = 9.64 ÷ 336.37 ≒ 2.9 %
- ROA = 当期利益 ÷ 総資産 = 9.64 ÷ 463.91 ≒ 2.1 %
(ただし、これらは簡易計算。税引前後・非継続項目・持分法などの調整を考慮していない)
業界としては決して高収益とは言えない。ミシン機械というニッチ分野+景気・設備投資動向への依存要素が大きい会社だから、利益変動も出やすい。
3. セクター分類と指標平均
PEGASUS は機械・精密機器セクター、あるいは「繊維機械」「産業用機械」に属す。東証では機械業種分類に入る可能性が高い。
業界一般の利益率や ROE の平均・中央値を把握できる資料をあげる:
- 業種別・売上高営業利益率の中央値・平均を集めた統計がある(かぶれん 等) (かぶれん)
- 機械業界における利益率ランキング(2021–2022年)を見ると、上位企業では利益率10%以上、20%台の企業もありうる。だがそれらは高付加価値・先端装置。 (業界動向サーチ)
とはいえ、ミシン・縫製機械領域というニッチ性を考えれば、他の機械企業と単純比較は危険。
仮に機械業界平均営業利益率が 5–8 % 程度と見る向きもあるが、上位企業だともっと高め。PEGASUS の 7.1 %は、機械業界平均と比べて“そこそこ”の水準か。
ROE や ROA で見ると、機械業界全体ではもう少し高い利益率を出す企業も多く、PEGASUS の ROE ≒ 2–3 %は低め、という印象を持つ。
4. セクター平均との乖離と要因
乖離している点とその理由(憶測含む):
- 収益性(ROE/当期利益率)が低め
理由として考えられるもの:
1. 設備投資負荷・減価償却コストが重い
2. ミシンという比較的成熟分野での価格競争・コモディティ化リスク
3. 為替・素材コスト変動の影響を受けやすい
4. 売上変動性:縫製業界・アパレル景気の影響を受けやすい
5. ミシン本体以外の事業への参入(自動車部品など)で収益率ミックスが下がる可能性 - 売上変動の幅が大きい
資料を見ると、前期には赤字や利益低迷の年度もある。 (TX会社調査)
収益モデルがストック型(部品・サービス)というよりは受注型/装置型が中心なのが要因。 - 資本効率がやや効きにくい構造
多くの資産を抱えており、その中で利益を回す力が弱いと感じられる。
要するに、専門機器メーカーならではの“波”を伴うビジネス構造が、平均を下げている。
5. 売上構成比
残念ながら最新資料には明確な売上構成比(%)の詳細が記載されていない。IR ライブラリには「製品・事業分野別」情報がある可能性があるので、それを確認すべき(有価証券報告書など)。 (pegasus.co.jp)
ただし公表情報・報道・IR文書から類推すると、売上比率はおそらく以下のような構成になっている可能性:
- 工業用環縫いミシン (本体) – 主力
- ミシン部品・消耗品
- 保守/アフターサービス・ソフトウェア支援
- 自動車向け部品(特にダイカスト部品)
- そのほか関連機器・ソフトウェア/機械改善装置
構成比の目安として、本体機械が半分以上を占め、残りを部品・サービス・その他事業が分け合う形と推定してよい。
6. 財務健全性
これも IR 資料を元に判断。公開情報から得られる点を挙げる。
肯定要素:
- 自己資本比率が高い:資料によれば連結ベースで約 70 % の自己資本比率という記載あり。 (TX会社調査)
- 負債比率が比較的抑えられている(つまり借入負担が大きくない) (TX会社調査)
- 資本余力・利益剰余金が蓄積されており、内部留保が厚そうな記述あり (TX会社調査)
- 総資産に対する純資産規模も大きく、バランスシートの余裕あり
懸念要素:
- 流動負債・短期借入金など短期債務の構成比がどうか(IR 資料で精査すべき)
- キャッシュフロー変動性:設備投資や借入返済のタイミングで流動性リスクが出る可能性
- 収益性が低い年度があることを踏まえると、利益低迷期における財務負担耐性が試される
総じて、「健全な部類」に入ると思う。ただし“見せかけ”にならぬよう、利益が出ない年に資本を切り崩すというパターンにならないかは要監視。
7. 過去10年の推移と今後の展望・リスク
過去10年の詳細な推移すべてはつかめていないが、いくつかのトレンドとリスクを指摘できる。
過去のトレンド
- 利益変動性が大きい年度が複数ある(黒字→赤字、あるいは利益率の低下など) (TX会社調査)
- 売上規模自体は増加基調の年もあり、設備投資やグローバル拡販が進んだ時期もあった
- 新事業(自動車部品等)参入を試みて多角化を図ってきた側面もある (ウィキペディア)
今後の展望・成長要因
- 縫製業界における自動化需要・省人化需要の拡大 → 高性能ミシン・関連機器への需要増
- グローバル展開強化、途上国縫製工場の設備更新需要
- ミシン本体以外のソリューション(AI/IoT制御、予知保全など)への拡張
- 自動車部品等へのさらなる展開による収益拡大
リスク
- 縫製業界の環境悪化(アパレル産業低迷、外部ショック)
- 為替変動・素材価格高騰リスク(鋼材、モーター、制御部品等)
- 技術陳腐化・他社との競争激化(特に低コスト国メーカーとの競争)
- 設備投資リスク:過剰投資・回収不能リスク
- 財務変動リスク:不採算期による利益圧迫
- 規制・環境対応コスト上昇リスク
8. 競合他社との比較と立ち位置
主要な競合には JUKI、ブラザー工業、ジャノメ、シンガーなどミシン関連企業がいる。特に JUKI は工業用ミシン分野で強く、設備・ブランド力で上位。 (juki.co.jp)
比較ポイント
- 規模:PEGA SUS は売上規模でこれら大手には劣る。
- 収益性:大手には多角化や付加価値化事業を持つ企業が多く、収益性・安定性で勝ちにくい。
- 技術・特化性:PEGA SUS の強みは環縫いミシンというニッチに深く入り込んでいる点で、他社が弱い分野を狙える余地あり。
- グローバル展開:販売網を持っている点は強み。ただし、競合もグローバルで展開しており、競争激しい。
- 成長余地:大手が手薄な地域や製品仕様ニッチ領域で差別化できれば、PEGA SUS にとって勝ち筋あり。
位置付けとしては、「専門ニッチで差をつけようとする中堅機械・精密機器メーカー」。大手に比べ資源は限られるが、特化性と技術力で勝負するモデル。
9. 総括
ポジティブ面
- 専門性が高く、他社が簡単に踏み込みにくいニッチ領域に強みを持っている
- 財務基盤が比較的健全で、自己資本比率高めという点は安心感材料
- グローバル販売網や部品・サービス展開という複数軸展開が可能な点
- 縫製業界の省人化・自動化ニーズが高まる可能性と噛み合えば成長余地あり
ネガティブ面
- 収益性・資本効率があまり高くない(特に ROE 水準が低め)
- 利益変動性が大きく、景況変化リスクをもろに被る可能性
- 規模拡大や競合対抗には資源制約が大きい
- 多角化や新事業参入はリスクも併せ持つ
見通し
PEGASUS は、「大手とは異なる戦い方」を選ぶ以外道がない会社だ。ニッチ性・専門性を活かし、付加価値・技術革新を軸に成長を図るなら、中長期的に一定の期待は持てる。ただし、業績悪化や景気後退局面では耐性が問われる。
投資対象とするなら、以下点を要監視:
- 今後の利益率改善と費用効率化
- 新事業(自動車部品、ソリューション系)展開の収益性
- キャッシュフローの安定性、設備投資回収性
- 縫製業界マクロ動向・為替・資材コストの変動