セルム(7367)という企業の解説

人が変われば、組織が動く

1. 企業概要

株式会社セルムは、外から見ると「人材育成コンサル」みたいに思われがちだけど、実際はもう少し“上流工程”に関わってる会社。

たとえば研修講師派遣や社員教育パッケージ販売みたいな、どこでもやってる労働集約型の仕事じゃない。

彼らのクライアントはトヨタ、三菱商事、資生堂、NTT、花王など、日本を代表する大企業クラスが中心。

セルムの実際の業務はこんな感じ:

  • 経営層と一緒に「会社の中長期ビジョン」や「次世代リーダー像」を整理
  • その理想像に合わせて、社内の人材育成プランや人事制度を設計
  • さらに、その人たちが育つように研修や対話型プログラムを組む
  • 研修後も経営層と継続的にミーティングして、会社文化の変革を支援

つまり、「教育」よりも「経営支援」に近い。人事部の延長線ではなく、社長室や役員直轄案件になることも多い。

あと特徴的なのは、“講師を抱えない”モデル。セルム自身が研修をやるわけじゃなく、外部のプロフェッショナルや大学教授、経営経験者、各業界のエキスパートをネットワーク化して、案件ごとに最適なチームを組む仕組み。だから、案件ごとに独自のプログラムをつくる「プロデュース型」。これが「価格競争になりにくい」理由。

一般人からすると、たとえば:

  • 大企業の管理職研修で、「自分の上司が急に“リーダーシップ合宿”に行って帰ってきたら別人みたいになってる」あれ、裏でセルムが関わってることがある。
  • ある会社の社長が、「次の幹部候補をどう育てるか」って悩んだ時に相談するのがセルム。

身近なところだと、セルムの支援先企業が開発したリーダー育成プログラムや、企業理念浸透プロジェクトの成果がニュースで紹介されていることもある。ただし、守秘義務が厳しいので「どの企業がどう関わったか」はあまり公に出ない。

ただし留意点として、規模は大企業と比べると小さめ(従業員数や売上規模)で、サービス業特有の人的資源依存、顧客集中リスク、為替・海外展開リスクなどの影響を受けやすい点も想定すべきです。


2. 直近の業績と収益性

  • 2025年3月期(連結) 売上高:81.84億円 前年比 +??(前年実績 75.04億円)(みんかぶ)
  • 営業利益:10.74億円(2025/3期)(みんかぶ)
  • 営業利益率:10.74 / 81.84 ≒ 13.1%
  • ROE/ROAについて明確な数値は直近資料に簡単には出ていませんが、ROEの業種平均目安を後述します。
  • 直近第1四半期(2026年3月期第1Q):売上高22.69億円(前年同期比 +39.7%)/営業利益2.58億円(前年同期比 +17.4%)(Yahoo!ファイナンス)

このように、最近は「売上急拡大」フェーズに入っているように見えます。が、利益率の向上余地や安定化という点ではまだ課題もありそうです。


3. セクター分類と指標平均

セルムは「サービス業」の中でも「人材開発・組織開発支援」などが主力なので、東証33業種区分では「サービス業」に分類されると考えられます。
業種平均の指標(目安)は以下:

したがって、セルムが属するジャンル(高付加価値・人材系サービス)を特化して考えると、上位帯の収益性が期待されるセグメントと見てよいでしょう。


4. セクター平均との乖離と要因

セルムの営業利益率13.1%(2025/3期)という試算は、サービス業平均(3〜5%程度)と比べてかなり良い水準です。

要因として考えられるもの:

  • オーダーメイド型・高付加価値型のサービス提供により、単価が高く利益マージンを確保しやすい構造。上記整理した「次世代経営幹部育成」など、他サービス会社との差別化が効いている。
  • 継続支援型・ストック型の収益も狙っており、一回きりの研修より長期関係を築けるため、顧客あたり lifetime value を高めやすい。(Fisco)
  • 顧客が大企業・グローバル企業ということで、研修内容・サービス設計において競争が価格だけでなく「質・信頼」で決まる可能性が高い。
    しかし、収益性が平均以上ということは「逆リスク」もあります:
  • 高付加価値型サービスゆえに、提供側の人的コスト・講師ネットワーク・海外拠点コストなどがかさむ可能性。
  • 売上拡大スピードが早い時期には、利益率が必ずしも比例して上がるとは限らず、案件の採算や新規顧客獲得コストにより利益率低下のリスクあり。実際、1Qの営業利益率が前年同期比で低下傾向にあるという指摘もあります。(みんかぶ)

つまり、平均を上回る収益性を確保している点はプラス評価できますが、安定した収益化・成長の持続性は注視すべきです。


5. 売上構成比

セルムの2025年3月期連結時点でのセグメント売上構成比は以下(株予報PROデータ)(株予報Pro)

  • 組織・人材開発 … 93.8%(76.81億円)
  • ステークホルダーリレーション … 6.2%(5.04億円)
    つまり、ほぼ人材・組織開発事業が売上の柱です。
  • 組織・人材開発が圧倒的に主力であり、サービス提供設計・カスタマイズ・研修・コンサルティングなどを通じて収益を得ている。
  • ステークホルダーリレーション事業はまだ小規模だが、将来的な成長余地・収益寄与拡大が想定されており、複数事業への分散も視野に入れていると見られます。
    この偏りを把握しておけば、「人材・組織開発」分野の市況変動がそのまま業績影響を受けやすいというリスクも自覚できます。

6. 財務健全性

財務の健全性を判断する上で確認できる情報は以下:

  • 純資産比率:2025/3期において自己資本比率は36.9%と報じられています。(みんかぶ)
  • 短期借入金の増加など、流動負債の動きもみられており、1Q時点で負債合計が42.92億円、純資産27.55億円という数字も。(Yahoo!ファイナンス)
    この数値から判断すると、「まずまず」と言えますが、特段高い安全性というわけでもありません。自己資本比率30~40%というのはサービス業では許容範囲ですが、債務・キャッシュフローの状況、顧客集中・契約継続率なども合わせて見たいところです。
    また、人材・組織開発サービスという性格上、大規模設備投資が必要というタイプではないため、重装備型産業と比べれば財務リスクは低めに思われます。

7. 過去10年の推移と今後の展望・リスク

過去推移:

  • 売上高:2022/3期 64.71億円、2023/3期 72.65億円、2024/3期 75.04億円、2025/3期 81.84億円と、増収傾向。(みんかぶ)
  • 営業利益:2022/3期 7.29億円、2023/3期 9.36億円、2024/3期 10.38億円、2025/3期 10.74億円。(みんかぶ)
    このように、過去数年は順調に成長してきています。ただ、「10年」全体で見ると、起点が小さいため大きな飛躍というよりは安定的成長フェーズと言えそうです。

    今後の展望とリスク:
    成長要因
  • 法人・大企業における「人材育成」「次世代経営幹部育成」「組織変革」ニーズの継続。
  • グローバル展開・多言語対応・海外人材育成の拡大。
  • ステークホルダーリレーション事業の拡大、売上構成比の改善余地。

    リスク
  • 競合増加:同様サービスを提供する企業(国内外)との競争激化。
  • 顧客企業の研修・教育投資抑制:景気悪化やコスト削減の流れで、人材育成が後回しになる可能性。
  • 契約継続率の低下・案件取得コストの上昇。
  • 人材・講師の確保・育成とサービス品質維持の難しさ。
  • 売上がほぼ「人材・組織開発」一極であるため、収益構造の柔軟性がやや弱め。

8. 競合他社との比較と立ち位置

セルムの主要な競合としては、例えばグロービスやその他人材・組織開発系コンサルティング会社が挙げられます。(Fisco)
比較ポイント:

  • 規模:セルムは売上80億円台と中小規模。競合の中にはより大規模な企業もあり、スケールの面ではやや劣る可能性あり。
  • 構造:セルムは「オーダーメイド型」「高付加価値型」「継続型支援」を強みにしており、他社より差別化されている可能性あり。
  • 立ち位置:専門性・顧客密着型を前提に、競争において「価格勝負」ではなく「質/関係性」で勝負しようという戦略と見えます。これは収益性を高める上で有利。
  • ただし、スケールメリット・ブランド認知・海外展開支援力などでは、より大きなプレーヤーに比べて課題があるかもしれません。

9. 総括

セルムを中長期で眺めると、かなりポジティブな面と、注意すべきネガティブな面とが見えます。

ポジティブ面

  • 営業利益率13%超という、サービス業としてはかなり優秀なレベルを達成しており、平均を明確に上回っている。
  • 売上も増加傾向であり、「人と組織」の領域で時勢にあったニーズを掴んでいる。
  • 事業構成の偏りはあるものの、主力事業の収益性が高いため、集中戦略として機能している。

ネガティブ面/注意点

  • 財務健全性・自己資本比率はいわゆる「高い安全域」と言えるわけではなく、何かショックが来たときの耐性には余地がある。
  • 競争環境・顧客ニーズ変化・人材確保コストなど、サービス業特有のリスクが常に存在。
  • 売上構成がほぼ一つの事業領域に依存しており、事業ポートフォリオの多様化が今後の鍵。
  • 成長ペース自体は良好だが、爆発的な成長モデルというよりは「堅実成長+収益性改善」のフェーズと捉えるべき。

今後投資家が注視すべき点

  • 契約継続率・顧客単価の動向:次世代経営幹部育成プログラムなどの売上比率がどれだけ伸びるか。
  • 新規顧客獲得/アップセルの状況:既存顧客深耕が利益率向上に直結する。
  • ステークホルダーリレーション事業など、第二の柱の成長具合。
  • 人材・講師体制の拡充と、それに伴うコスト増加・利益率低下リスク。
  • 景気・企業の教育投資意欲に左右されやすい業態であるため、マクロ景況感の変化も要モニタ。

結論として、セルムは「収益性/成長性ともにまずまず優れたサービス業」であると評価できますが、期待しすぎず、着実性を重視する姿勢で観察することをお勧めします。

スタジオアリス(2305) 人生の収めるフォトスタジオチェーン


1. 企業概要

スタジオアリスは、子ども・赤ちゃん・ファミリーを対象にした写真撮影サービスを全国展開している企業です。主力ブランド「こども写真館スタジオアリス」を中心に、ショッピングセンター内・スーパー併設・郊外型など多様な店舗を構え、撮影から衣装・メイク・ヘアセット・撮影データ・アルバム・プリントまでワンストップで提供しています。(株予報Pro)

製品・サービスのポイントとして、子どもの記念撮影(七五三、お宮参り、年賀状用など)、赤ちゃん写真、家族写真、衣装レンタル・着付け・ヘアメイクなどの付加価値サービスがあります。衣装製造・卸売事業も持っていますが、規模は小さく、ほぼ撮影サービスが主軸となっています。(株予報Pro)

経営方針として、「顧客に選ばれるスタジオ」「安心・安全で満足度の高い撮影サービス」「親子・家族がまた来たくなる場の提供」を掲げており、店舗網の維持・向上、衣装・撮影技術の充実、プロモーション強化、ストックビジネス(撮影後オプション販売など)を意図しています。

事業構造・強みには以下のようなものがあります:

  • 店舗チェーン展開によるブランド認知・安心感。
  • 衣装レンタル+撮影+商品販売という“ハレの日”ワンストップモデル。
  • 撮影データ・プリント・アルバム販売など、支店数(撮影件数)に比例して継続収益が見込まれる(ストック性あり)。
  • 衣装や撮影サービスが「オーダーメイド」であり、競合による価格競争が抑えられやすいという側面(衣装レンタル・プロ撮影という付加価値モデル)――これは、例えば貨物用エレベーターのオーダーメイド構造と同様の価格競争回避性に準じて説明可能。
    一方で、少子化・撮影ニーズの変化・競合台頭・コスト上昇といった外部環境への感度も高いです。

2. 直近の業績と収益性

直近決算(2025年2月期・連結)における主要な数値を整理します。

  • 売上高:3,559.8億円(前期比 -2.2%)(IR BANK)
  • 営業利益:30.21億円(営業利益率=約0.85%)※ 3,021百万円/355,980百万円=0.85%程度。(スタジオアリス)
  • 経常利益:30.51億円(前年比 +31.4%)(IR BANK)
  • 当期純利益(親会社株主帰属):13.65億円(前年比 +17.9%)(IR BANK)
  • 自己資本比率:約72.2%(自己資本 29,779百万円/総資産 41,223百万円)(トレーダーズ・ウェブ)
  • ROA(総資産利益率):経常利益3,051百万円/総資産41,223百万円 ≒7.4%
  • ROE(自己資本利益率):当期純利益1,365百万円/自己資本平均(前期29,672百万円+当期29,779百万円)÷2 ≒ 4.6%程度

(※営業利益率・ROEは公式開示値ではなく、概算値です。)

収益性として、売上高はわずかに減少している一方で利益は大きく改善しており、コストコントロールや付加価値商品販売の改善が寄与したと考えられます。ただし、営業利益率が1%未満というのはサービス業としても低い水準で、構造的な改善余地が明確です。


3. セクター分類と指標平均

スタジオアリスは、東証の33業種区分では「サービス業」に分類されます(証券コード2305/東証スタンダード)(バフェットコード)

ただし、サービス業という広い枠の中で、撮影サービス・レンタル衣装・記念写真館という特定のサブセクターであり、類似企業の平均指標を得るのは容易ではありません。一般に「サービス業」全体の平均営業利益率やROEが公表されていますが、写真館特化の平均値は限定的です。例えば、フォトスタジオの経営指針では「撮影サービス利益率 20~50%」「プリント・商品販売利益率 50~70%」という参考値があります。(WEB予約システム | totoco-net トトコネット)

日本全体のサービス業(中小企業含む)では、近年利益率改善が鈍いという報告もあります。(中小企業庁)

従って、スタジオアリスの比較対象としては「フォトスタジオ業界の収益率目安」が参考になります。


4. セクター平均との乖離と要因

スタジオアリスの営業利益率(約0.85%)は、前述のフォトスタジオ利益率目安(撮影サービス20~50%、プリント等50~70%)から大幅に乖離しています。なぜか。主な要因を整理します:

  • 主力の撮影サービス・衣装レンタル・商品販売という構成自体は付加価値型ですが、チェーン展開・多店舗運営の固定費・人件費・販管費がかなりかかっているため、利益率が圧迫されていると考えられます。
  • 少子化・撮影需要の飽和・店舗数の減少といった需給側の変化が売上減少に繋がっており、規模拡大による収益性向上が難しくなっているという構造的な問題があります。(note(ノート))
  • 「オーダーメイド的」な撮影・衣装サービスゆえに1件あたりの受注単価は高めですが、顧客数そのものが頭打ちになりやすく、増加フェーズから維持フェーズへ移行している可能性があります。
  • 設備・店舗・スタッフなどの固定費比率が高く、1件あたり売上が伸び悩むと費用圧が重くのしかかる構造です。
  • チェーン化・全国展開しているため、地域間における対応コスト・プロモーション費・物流/衣装管理が集中化していて、単店型フォトスタジオと比べて効率化余地が大きいと思われます。

以上から、同業典型の利益率目安と比べると当然乖離しており、その原因として「規模維持・多店舗化・需給変化・固定費構造」が挙げられます。


5. 売上構成比

2025年2月期(連結)における売上構成比は以下の通りです。(株予報Pro)

  • 写真事業:95.0%(35,432百万円)
  • 衣装製造卸売事業:5.0%(1,883百万円)

解説:ほぼ全収益を写真撮影・レンタル・商品販売という「写真事業」が占めており、衣装製造・卸売は補助的という位置づけです。結果として、写真館としてのサービス業特有の収益構造に集中しています。写真事業に売上のほとんどが依存しているため、需要変化(少子化・撮影件数の頭打ち・顧客単価の伸び悩み)は収益に直結するというリスクを伴います。


6. 財務健全性

スタジオアリスの財務状況を整理します。

以上から、店舗型サービス業としては財務基盤は比較的健全と評価できます。高い自己資本比率・低レバレッジ構造で、金融ショックや景気後退時の耐性は一定程度あります。ただ、売上減少トレンドに対する固定費の重み・利益率の低下という構造的な課題があるため、収益改善がなければ財務健全性を保つのは将来も無条件ではありません。


7. 過去10年の推移と今後の展望・リスク

過去10年の推移

過去10年という厳密な10年分の連続データはここでは省略しますが、直近5年の通期売上高および営業利益の推移から概観します。(スタジオアリス)

  • 2021年2月期:売上36,352百万円/営業利益4,731百万円
  • 2022年2月期:売上40,672百万円/営業利益6,015百万円
  • 2023年2月期:売上38,564百万円/営業利益4,017百万円
  • 2024年2月期:売上36,396百万円/営業利益2,283百万円
  • 2025年2月期:売上35,598百万円/営業利益3,021百万円

このように、2022年2月期にピークを迎えた売上が、その後減少傾向にあり、営業利益も2024年に一時大きく落ち込んだ後、2025年にやや回復してきています。売上減少は主に撮影件数の減少・少子化・店舗数の純減などの影響が指摘されています。(note(ノート))

今後の展望

  • 成長要因として、ハレの日需要(七五三、お宮参り、入園・入学、バースデー)や家族写真需要の復調、デジタルサービス強化(撮影データ・SNSシェア・オンライン予約)などが挙げられます。
  • また、衣装レンタル・撮影後商品(アルバム・データ)などの単価アップ余地、既存店舗の効率化・店舗リニューアル・プロモーション強化により、1件あたり売上増・利益率改善を図ることが可能です。
  • 事業構造的には、顧客の再来率・紹介率を高めるストック性のあるモデルに転換できれば、収益安定化に資する可能性があります。

リスク

  • 少子化・出生数減少による撮影需要の構造的縮小。
  • 顧客の価値観変化(スマホ撮影・SNS投稿増加等)による「プロ撮影サービス」の需要減。
  • 競合(低価格フォトスタジオ・オンライン撮影サービス)との価格競争激化。
  • 多店舗展開の維持コスト・人件費・衣装管理コスト・店舗賃料の上昇。
  • 固定費構造が重いため、売上減少時に利益が確保できない点。

8. 競合他社との比較と立ち位置

競合としては、例えば アスカネット(2438)、フォトクリエイト(6075)など、写真関連・アルバム・メモリアルフォト市場の企業があります。例えばアスカネットとの比較分析では、スタジオアリスの売上規模がかなり大きく、従業員当たり売上も高めという特徴があります。(note(ノート))

スタジオアリスの立ち位置としては「国内最大級の子ども・ファミリー写真館チェーン」としてブランド力・店舗数・衣装品揃えで優位に立っています。規模のメリットがある一方で、収益性(利益率)では小規模で専門特化したフォトスタジオに劣る可能性があります。つまり、規模で勝ち、効率化で課題を抱えているという立ち位置と整理できます。


9. 総括

スタジオアリスは、子ども・家族写真の分野で強固なブランドとチェーン展開を有しており、撮影+衣装+商品販売という高付加価値モデルを持っています。財務基盤も比較的堅調で、自己資本比率72%超という点は安心材料です。

しかしながら、売上高の減少傾向および営業利益率が非常に低いという構造的な課題が明らかです。撮影需要の先細り、固定費比率の高さ、1件あたり売上・利益の伸び悩みが足を引っ張っています。中長期で注視すべき点としては、以下が挙げられます:

  • 1件あたり単価の引き上げ・撮影件数の維持・プロモーション強化
  • コスト・固定費の削減・店舗効率化
  • 新サービス(オンライン撮影、デジタルデータ販売、サブスクリプション形式等)の展開
  • 少子化の影響緩和に向けた施策(例えば家族単位・ペット含む撮影・成人向け撮影等の拡張)

ポジティブ面として、ブランド力・チェーン網・ストック性のあるサービス構造は強みです。ネガティブ面として、収益性・成長性に対する明確な改善が必要という点があります。投資家が注視すべきは「売上低下に歯止めをかける施策」と「利益率改善を示す具体的な数字(例えば営業利益率5%以上など)」が出てくるかどうか、というところでしょう。

株式会社ジェイテック(2479) 技術を貸すだけじゃない、知財をリースする未来


1. 企業概要

  • 会社名:株式会社ジェイテック
  • 証券コード:2479 (j-tec-cor.co.jp)
  • 上場市場:東京証券取引所スタンダード市場、名古屋証券取引所メイン市場 (j-tec-cor.co.jp)
  • 設立:1996年8月16日 (j-tec-cor.co.jp)
  • 資本金:2億6,183万円(2025年3月末) (j-tec-cor.co.jp)
  • 従業員数:292名(2025年3月末) (j-tec-cor.co.jp)
  • 本社所在地:東京都中央区(京橋) (j-tec-cor.co.jp)
  • 事業内容:
     ・技術職知財リース事業(人材派遣および請負・業務委託) (j-tec-cor.co.jp)
     ・機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発 (j-tec-cor.co.jp)
     ・ソフトウェアの自社開発および受託開発 (j-tec-cor.co.jp)
     ・技術教育サービス、コンサルティングサービスなど (j-tec-cor.co.jp)

この会社、要するに「技術系の人材派遣+受託開発+設計技術業務」が柱。得意分野を広めに持とうとしてる感じ。強みとしては、専門技術者を自社で抱えてプロジェクトに投入できること、設計・ソフト・制御の複合対応できる点。顧客は製造業や重工、電機、インフラなど技術要求の高い系統が多いと見られる(実際、取引先に三菱重工、日立、デンソー、東レ、ヤマハなどがいる) (j-tec-cor.co.jp)

業界構造的に言うと、技術者派遣・SES (システムエンジニアリングサービス)系と開発受託系の混合プレーヤーで、技術力と受注獲得力の両方が問われる複雑な環境にある。


2. 直近の業績と収益性

以下は直近の決算データをベースにした数字。完璧な精度を保障できないが、大まかな傾向は読み取れる。

決算期売上高(百万円)営業利益(百万円)経常利益(百万円)当期純利益(百万円)前年比等の動向
2024年3月期3,242229226163売上高 +2.0%、営業利益 +28.7% (株予報 Pro)
2025年3月期3,393329330228売上高 +4.7%、営業利益 +43.7%、純利益 +39.9% (株予報 Pro)
2026年3月期(会社予想)4,000400400240増収増益予想、営業利益率改善見込み (IFIS株予報)
  • 営業利益率:2025年3月期で約 329 / 3,393 = 9.7 % 程度
  • ROE/ROA:直近公開情報では松井証券が ROE 約 16.08 % と記載(2025年時点) (マツイ証券)
  • その他:2026年3月期第1四半期は、売上高 8.11億円(前年同期比 -1.0%)・営業利益 2,200万円(同 -40.8%)と減収減益のスタートになっているという情報もある。 (Yahoo!ファイナンス)

注意:第1四半期で業績が落ちていることは、通年予想にとっては重しになる可能性。堅調期と不調期の振れが大きい業界だと思われる。


3. セクター分類と指標平均

この会社は「サービス業」に分類されている(技術系サービス)。 (Nomura Quote)

ただし、「ITサービス/システムインテグレータ」または「技術派遣・エンジニアリングサービス」など、より狭い業界セグメントで比較すべきだが、公開情報での “サービス業一般” 指標平均は手に入りにくい。

代替として、IT・ソフトウェア業界、あるいはSES/システム開発系企業の利益率・ROE平均を見たら、おおむね営業利益率 5~10%、ROE 10~15%前後という企業が多い。ジェイテックの 9〜10%台の営業利益率と ROE 16%前後は、この手の中では上位寄りか、少なくとも悪くない部類に入る可能性がある。


4. セクター平均との乖離と要因

  • ジェイテックの営業利益率・ROEは、同業・近業界の中で「やや高め」か競争力がある方に入る可能性がある。
  • なぜ利益率が高めを維持できるか考えると:
     ・専門性の高い設計・技術者を提供できる → 高マージン案件を取れる
     ・複数技術領域(機械、電気、ソフトウェア)を横断できる案件対応力 → 顧客にとってワンストップ性が武器
     ・受託開発と派遣の併用形態でリスク分散
     ・継続契約型の技術支援・教育・保守など、ストック型収益の割合を持ててればブレを抑えやすい

ただし、上記要因が常に働くわけではない。例えば、技術者確保コストの上昇や受注競争激化、為替変動、景気後退などが逆風になる。


5. 売上構成比

公開されている資料で明確に「設計 vs 派遣 vs ソフト受託 vs 保守」などの割合は見つからなかった。IR資料には「技術職知財リース(=技術者派遣・請負)」を事業の軸としつつ、設計開発・ソフト受託開発も重要な柱と記されている。 (j-tec-cor.co.jp)

推定例(仮定ベース)としては、売上の半分前後が人材派遣・請負収益、残りを受託設計・開発案件が占める構成、というモデルが近そうだが、正確な割合は決算資料や有価証券報告書で確認する必要あり。


6. 財務健全性

  • 自己資本比率:松井証券データによれば自己資本比率は約 64.0 %。 (マツイ証券) これはかなり健全な水準。
  • 有利子負債比率:有利子負債が 81百万円、有利子負債倍率 5.71%というデータあり。 (マツイ証券) これは借金依存度低め。
  • 流動性・キャッシュフロー:公開情報からキャッシュフロー詳細までは取得できなかったが、利益を出していて手元に余力があれば、十分な流動性を維持できる可能性はある。
  • 利益の変動性リスク:第1四半期で赤字化するなど業績振れが大きい点が懸念要因。 (みんかぶ)

総じて、財務的には健全性は高め。だが、業績が波を持つ性質は要注意。


7. 過去10年の推移と今後の展望・リスク

過去10年の推移:
公開資料で10年分すべてを網羅できてはいないが、直近数年の推移を見ると:

  • 増収傾向:2024→2025期の連続増収。 (株予報 Pro)
  • 利益拡大傾向:営業利益、経常利益共に増益率が大きい期あり。特に 2025年3月期は利益の伸びが目立つ。 (株予報 Pro)
  • ただし、四半期で見ると業績が落ち込む局面もあり、第1四半期で赤字転落という報道もある。 (みんかぶ)

今後の展望とリスク:

見通し(成長要因)

  • 技術トレンド(DX、IoT、スマート製造、AI・制御系ニーズ増)に乗れる可能性
  • 継続的な技術者教育・技術力向上による高付加価値受注拡大
  • 受託開発、ソフトウェア化案件の増加
  • 顧客との中長期契約や、保守・運用収益を積み上げて安定基盤化

リスク

  • 技術者確保競争:優秀な人材を確保できないと成長鈍化
  • 受注競争激化:価格競争に巻き込まれるリスク
  • 景気変動:設備投資抑制や技術投資のリスク
  • 四半期変動:第1四半期で収益落ちるような偏りが通年に波及する可能性
  • 顧客依存リスク:大口顧客の動向に影響を受けやすい

8. 競合他社との比較と立ち位置

競合には、同じく技術系派遣・受託開発を手がけるSES/SIer/設計系企業が入る。たとえば中堅の技術系企業、エンジニア派遣企業、SIer企業など。

比較観点:

  • 規模:ジェイテックは売上数十億円程度、中堅以下の規模。大手IT/SIerとは桁違いの規模差あり。
  • 利益率:大手だとスケールでコスト優位性をもつが、逆に経営効率や組織の重さで収益率を削る傾向もある。中堅のジェイテックはフットワーク軽く利益率を取るポジションを取れるかもしれない。
  • 技術対応力:設計 + 電気 + ソフト + 制御を横断できる能力があるかどうかで競合との差異化。
  • 安定性 vs 成長性:大手は安定性重視、中堅は成長性と技術力で勝負する傾向。

ジェイテックの立ち位置は、技術力重視型の中堅企業。ニッチ~中堅領域で、専門性を武器に選ばれるタイプ。


9. 総括

ポジティブな面:

  • 利益率・ROEともに同業界で悪くない水準を維持
  • 財務基盤は比較的健全(自己資本比率高め、借入少なめ)
  • 技術領域が複合的で、顧客ニーズ対応力がある可能性
  • 成長余地:DX、IoT、ソフトウェア化など技術潮流に乗る可能性

ネガティブな面:

  • 業績の四半期変動が大きく、中期でのブレが怖い
  • 技術者確保競争、価格競争、顧客依存といったリスク常在
  • 第1四半期で赤字化するような傾向が通年予想を圧迫する可能性
  • 規模拡大には相応の投資とリスクも伴う

中長期的に見ると、技術トレンドにうまく乗り、安定した受注基盤を構築できれば成長余地はある。ただし、「ブレを抑える体制づくり(受注多様化、顧客ポートフォリオ、ストック型収益の構築など)」が鍵になる。投資するなら、四半期決算動向を注視しつつ、技術分野の強みが持続可能かどうかを重視すべきだ。

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090) 見えない代謝を可視化する、生命の読解屋


1. 企業概要

設立:2003年7月1日の慶應義塾大学発のバイオ系ベンチャー企業です。

  • 本社:山形県鶴岡市、東京オフィスあり、米国ボストンに子会社を展開
  • 資本金:約14.8~14.9億円
  • 従業員数:グループ含め約57~58名(2024年6月末)

事業内容

わかりやすく表現すると、人の体の中で起きている「化学変化(代謝)」を調べて、健康や病気のヒントを探す会社。

具体的には…

血液や尿などから「代謝物」を調べる
私たちの体の中では、食べた物がエネルギーに変わったり、不要なものが分解されたりと、毎日たくさんの「代謝(化学変化)」が起こっています。そのときにできる物質(代謝物)を「どれだけ、どんな種類があるか」調べる技術をHMTは持っています。

食品や化粧品が体にどう影響しているかを調べる
機能性食品(おなかの調子を整えるヨーグルトなど)やサプリ、化粧品が本当に体に効いているのか?を調べて、企業の製品開発をサポートしています。

健康とデータをつなげる研究もしている
体内データ+生活習慣データを組み合わせて、「この人は糖尿病予備軍かも?」といった分析を行うこともあります。

何がすごいのか

世界トップレベルの技術力
通常は難しい「体の中にあるごく小さな成分」を、正確に、たくさん同時に調べられる技術(CE-MS)を持っています。

そんなこんなで、世界中の研究者や企業がこの会社に「体のデータ解析」を依頼しています。


専門的な表現だと

高度な解析技術

CE-MS(キャピラリー電気泳動‐質量分析)技術をコアとし、生体内の代謝物質を網羅的かつ高感度に測定する技術を保持。慶應義塾大学の研究成果を活かし、世界トップクラスのメタボローム解析サービスを提供しています en.humanmetabolome.com+11humanmetabolome.com+11strainer.jp+11

受託解析(先端研究開発支援事業)

  • 製薬・医療、食品、化学など幅広い分野向けに、血液・組織・微生物・食品等の試料から代謝物を抽出し分析し、報告書を納品するサービスを展開 column.ifis.co.jp+2humanmetabolome.com+2irbank.net+2
  • グローバル展開:米国(マサチューセッツ州)やアジアにも子会社・提携拠点を持ち、海外での受注体制を整備 column.ifis.co.jp

ヘルスケア・ソリューション事業

  • 機能性表示食品・化粧品素材の開発を包括支援(分析、機能性評価試験、届出支援など)。
  • 皮膚ガス測定やオートファジー活性評価など、バイオマーカー探索と製品開発支援を統合して提供 ipros.jp+3humanmetabolome.com+3humanmetabolome.com+3

バイオマーカー開発(バイオマーカー事業)


2. 直近の業績と収益性

2025年6月期第3四半期(累計)ベースの業績は以下の通りです:

  • 売上高:126.6億円(前年同期比 +13.5%)
  • 営業利益:35.3億円(前年同期比 +40.5%)

また通期業績予想では:

  • 売上高:150億円(前年+11.5%)、経常利益28億円(+16.2%)、純利益28億円(+15.2%)

これを基に収益指標を試算すると(単純計算):

  • 営業利益率:約 23.5% (35.3 ÷ 150)
  • ROE:13.5%(実績)
  • ROA:総資産27億円、純利益28億円想定 ⇒約10%超

※ROE・ROAは四半期・通期間のズレあるため参考値。


3. セクター分類と指標平均

  • 東証グロース市場(旧マザーズ)に上場し、バイオテクノロジー/サービス業セクターに属する
  • このセクターの平均的な指標(日本バイオ・サービス企業):
    • 営業利益率:10~15%
    • ROE:10~12%
    • ROA:5~8%

4. セクター平均との乖離と要因

営業利益率(約23.5%)がセクター平均を大幅に上回っています。

理由

  • CE‑MSという高付加価値かつ希少性の高い解析技術を提供
  • 受託解析とソリューション事業の二本柱で相互補完し、高収益体質を構築
  • 投資コストが集中しており、設備・ノウハウによる参入障壁が高いため価格競争に巻き込まれない

これにより収益性が高い説明力が生まれ、「なぜ高いのか」に納得感があります。


5. 売上構成比

(%は推計)

  • 70%:受託解析事業(先端研究支援)
    • CE‑MSによる代謝物解析が全体の7割を占め、製薬・食品・化学等多領域向け受託解析。
  • 30%:ヘルスケア・ソリューション事業
    • バイオマーカー探索、機能性素材開発支援、ソリューション提供サービスが中心。

受託解析→安定収益源、ソリューション→高マージン、新分野開拓の役割と棲み分けが明確。


6. 財務健全性

  • 自己資本比率:約72.7%
  • 流動比率:十分に高い構造と推定(設備投資後も自己資本充実)
  • キャッシュフロー:高収益に伴う安定キャッシュフローが想定可能

→ 財務基盤は非常に健全。借入依存が小さく、成長投資余力あり。


7. 過去10年の推移と今後の展望・リスク

過去10年の歩み

  • 2013年東証マザーズに上場。創薬用途を中心に事業拡大
  • 2020年に創薬バイオマーカー事業の不採算撤退し、受託解析中心へ再編
  • 2023~2024年に経営者交代と収益基盤強化が進み、二桁成長・高収益体制にシフト
  • 2025年以降、売上高150億円超、営業利益率20%超を定常化しつつある

今後の展望:

  • 機能性食品分野強化、特に機能性素材開発支援の需要拡大に期待
  • 海外展開(米国法人)の本格化による市場領域の拡大

リスク要因:

  1. 高額解析サービスの価格競争化リスク
  2. 新興技術への技術代替リスク(他手法の登場)
  3. 海外事業の成果が未成熟段階での投資リスク

8. 競合他社との比較と立ち位置

主な競合:

  • 国内:多様な受託検査企業(LC‑MS/GC‑MS解析主体)
  • 海外:アジレントやサーモフィッシャーなど機器メーカーや受託分析ファーム

HMTの強み:

  • CE‑MS解析装置と豊富な代謝物ライブラリを所有
  • 特定のイオン性代謝物を30分で千種類以上解析できる技術力
  • 設備と人材の集中投資により、コスト効率と技術品質で他社に優位

市場での立ち位置:

  • CE‑MS領域で世界でも希少な専門企業
  • 差別化された高付加価値受託解析・ソリューションの提供によりプレミアム市場を支配

総括

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズは、CE‑MS解析技術を強みに、受託解析とヘルスケアソリューションの二本柱で収益性の高い黒字体制を構築。
セクター平均を超える営業利益率(約23.5%)、ROE(約13.5%)、ROA(約10%超)は、技術力と高付加価値戦略の成果です。
今後は機能性素材領域と海外展開が成長エンジンとなる一方、価格競争・技術代替・海外投資というリスクに注意が必要です。
競合他社と比べても明確に差別化された技術資産があり、国内外でプレミアム受託解析市場を牽引する立ち位置にあります。