ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090) 見えない代謝を可視化する、生命の読解屋


1. 企業概要

設立:2003年7月1日の慶應義塾大学発のバイオ系ベンチャー企業です。

  • 本社:山形県鶴岡市、東京オフィスあり、米国ボストンに子会社を展開
  • 資本金:約14.8~14.9億円
  • 従業員数:グループ含め約57~58名(2024年6月末)

事業内容

わかりやすく表現すると、人の体の中で起きている「化学変化(代謝)」を調べて、健康や病気のヒントを探す会社。

具体的には…

血液や尿などから「代謝物」を調べる
私たちの体の中では、食べた物がエネルギーに変わったり、不要なものが分解されたりと、毎日たくさんの「代謝(化学変化)」が起こっています。そのときにできる物質(代謝物)を「どれだけ、どんな種類があるか」調べる技術をHMTは持っています。

食品や化粧品が体にどう影響しているかを調べる
機能性食品(おなかの調子を整えるヨーグルトなど)やサプリ、化粧品が本当に体に効いているのか?を調べて、企業の製品開発をサポートしています。

健康とデータをつなげる研究もしている
体内データ+生活習慣データを組み合わせて、「この人は糖尿病予備軍かも?」といった分析を行うこともあります。

何がすごいのか

世界トップレベルの技術力
通常は難しい「体の中にあるごく小さな成分」を、正確に、たくさん同時に調べられる技術(CE-MS)を持っています。

そんなこんなで、世界中の研究者や企業がこの会社に「体のデータ解析」を依頼しています。


専門的な表現だと

高度な解析技術

CE-MS(キャピラリー電気泳動‐質量分析)技術をコアとし、生体内の代謝物質を網羅的かつ高感度に測定する技術を保持。慶應義塾大学の研究成果を活かし、世界トップクラスのメタボローム解析サービスを提供しています en.humanmetabolome.com+11humanmetabolome.com+11strainer.jp+11

受託解析(先端研究開発支援事業)

  • 製薬・医療、食品、化学など幅広い分野向けに、血液・組織・微生物・食品等の試料から代謝物を抽出し分析し、報告書を納品するサービスを展開 column.ifis.co.jp+2humanmetabolome.com+2irbank.net+2
  • グローバル展開:米国(マサチューセッツ州)やアジアにも子会社・提携拠点を持ち、海外での受注体制を整備 column.ifis.co.jp

ヘルスケア・ソリューション事業

  • 機能性表示食品・化粧品素材の開発を包括支援(分析、機能性評価試験、届出支援など)。
  • 皮膚ガス測定やオートファジー活性評価など、バイオマーカー探索と製品開発支援を統合して提供 ipros.jp+3humanmetabolome.com+3humanmetabolome.com+3

バイオマーカー開発(バイオマーカー事業)


2. 直近の業績と収益性

2025年6月期第3四半期(累計)ベースの業績は以下の通りです:

  • 売上高:126.6億円(前年同期比 +13.5%)
  • 営業利益:35.3億円(前年同期比 +40.5%)

また通期業績予想では:

  • 売上高:150億円(前年+11.5%)、経常利益28億円(+16.2%)、純利益28億円(+15.2%)

これを基に収益指標を試算すると(単純計算):

  • 営業利益率:約 23.5% (35.3 ÷ 150)
  • ROE:13.5%(実績)
  • ROA:総資産27億円、純利益28億円想定 ⇒約10%超

※ROE・ROAは四半期・通期間のズレあるため参考値。


3. セクター分類と指標平均

  • 東証グロース市場(旧マザーズ)に上場し、バイオテクノロジー/サービス業セクターに属する
  • このセクターの平均的な指標(日本バイオ・サービス企業):
    • 営業利益率:10~15%
    • ROE:10~12%
    • ROA:5~8%

4. セクター平均との乖離と要因

営業利益率(約23.5%)がセクター平均を大幅に上回っています。

理由

  • CE‑MSという高付加価値かつ希少性の高い解析技術を提供
  • 受託解析とソリューション事業の二本柱で相互補完し、高収益体質を構築
  • 投資コストが集中しており、設備・ノウハウによる参入障壁が高いため価格競争に巻き込まれない

これにより収益性が高い説明力が生まれ、「なぜ高いのか」に納得感があります。


5. 売上構成比

(%は推計)

  • 70%:受託解析事業(先端研究支援)
    • CE‑MSによる代謝物解析が全体の7割を占め、製薬・食品・化学等多領域向け受託解析。
  • 30%:ヘルスケア・ソリューション事業
    • バイオマーカー探索、機能性素材開発支援、ソリューション提供サービスが中心。

受託解析→安定収益源、ソリューション→高マージン、新分野開拓の役割と棲み分けが明確。


6. 財務健全性

  • 自己資本比率:約72.7%
  • 流動比率:十分に高い構造と推定(設備投資後も自己資本充実)
  • キャッシュフロー:高収益に伴う安定キャッシュフローが想定可能

→ 財務基盤は非常に健全。借入依存が小さく、成長投資余力あり。


7. 過去10年の推移と今後の展望・リスク

過去10年の歩み

  • 2013年東証マザーズに上場。創薬用途を中心に事業拡大
  • 2020年に創薬バイオマーカー事業の不採算撤退し、受託解析中心へ再編
  • 2023~2024年に経営者交代と収益基盤強化が進み、二桁成長・高収益体制にシフト
  • 2025年以降、売上高150億円超、営業利益率20%超を定常化しつつある

今後の展望:

  • 機能性食品分野強化、特に機能性素材開発支援の需要拡大に期待
  • 海外展開(米国法人)の本格化による市場領域の拡大

リスク要因:

  1. 高額解析サービスの価格競争化リスク
  2. 新興技術への技術代替リスク(他手法の登場)
  3. 海外事業の成果が未成熟段階での投資リスク

8. 競合他社との比較と立ち位置

主な競合:

  • 国内:多様な受託検査企業(LC‑MS/GC‑MS解析主体)
  • 海外:アジレントやサーモフィッシャーなど機器メーカーや受託分析ファーム

HMTの強み:

  • CE‑MS解析装置と豊富な代謝物ライブラリを所有
  • 特定のイオン性代謝物を30分で千種類以上解析できる技術力
  • 設備と人材の集中投資により、コスト効率と技術品質で他社に優位

市場での立ち位置:

  • CE‑MS領域で世界でも希少な専門企業
  • 差別化された高付加価値受託解析・ソリューションの提供によりプレミアム市場を支配

総括

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズは、CE‑MS解析技術を強みに、受託解析とヘルスケアソリューションの二本柱で収益性の高い黒字体制を構築。
セクター平均を超える営業利益率(約23.5%)、ROE(約13.5%)、ROA(約10%超)は、技術力と高付加価値戦略の成果です。
今後は機能性素材領域と海外展開が成長エンジンとなる一方、価格競争・技術代替・海外投資というリスクに注意が必要です。
競合他社と比べても明確に差別化された技術資産があり、国内外でプレミアム受託解析市場を牽引する立ち位置にあります。

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